道の道とすべきは常の道にあらず
定本「老子道徳経」の読み方 早島天來編より 人生を最高に生きる老子の言葉 第三十六回
第一部 人の道、天の道とは何か
一章 人の道は固定したものではない
一章 人の道は固定したものではない
〜道の道とすべきは常の道にあらず。〜
人が道と名づけた道は、天の道ではない。 だから永遠不変の道ではない。すべての存在がもともと無である事を知れば、これほど楽な生き方はない。
★人が幸せに生きるとは
これまでの人類の長い歴史の中で、ギリシャの時代から、人が生きるという事について、沢山の人が考え、数え切れない程の人生論や幸福論が書かれて来ました。
また日々の生活をより便利に幸せにする為に、人類は科学技術を発展させて、文明を構築して来たのです。
ですが、そうやって人工的な快適な社会を作り上げ、発展させて来たはずの人類の現状を冷静に見てみると、道を歩く人々は、本当に幸せそうな顔をしているでしょうか? そしてまた「あなたは幸せですか」と聞かれた時に、「はい幸せです」と即答出来る人がいったいどれだけいるのでしょうか?
では、なぜ「幸せ」を実感出来ないのか、その大きな原因が、人生とは人間の考えた優劣や常識に則った、まっすぐの道であるべきだと考えるからではないでしょうか。
考えて見れば、人間の一生は短いものです。
いつまでも生きていられるわけではありません。
その短い、あっという間の人生を、人間の考えた規範ばかりにとらわれて自分を束縛し、苦しむなんてもったいない事です。
水や赤子のように、ありのままに素朴に対立無く生きる事が、実は天地自然に添う事であり、もっとも幸せな生き方だと説いたのが紀元前の中国に生まれた『老子』の思想なのです。